外国人採用で介護現場はどう変わっていくのか?

セティアマネジメントは、インドネシア共和国において、日本介護職業能力育成機構殿(JCCD)の教材を使いGIfTプログラムで優秀な人材を育成しております。 JCCDは日本式の介護教育教材を研究・開発し、実践的な教育を行っているパイオニア機関です。 今回は、これまで1000名以上のキャリア支援・就職を支援されてきたJCCD本宮理事長に、外国人人材の受け入れ方等をQ&A方式でインタビューをさせて頂きます。

介護教材にかける熱い思い
 なぜ外国人向けの介護教材を開発したのか経緯などを教えて下さい。

本宮

まず、外国の方が介護を選んで頂いたことに感謝しています。 言葉・技術・知識を分かり易く纏めています。介護現場では日本語を知っているだけではより良いケアはできません。 利用者の「安心」「安全」に配慮した優しい介護を実現できることを目指し介護の現場で安心して生き生きと働いてほしいと思っています。JCCD教材でお手伝い(サポート)をし自信をもって、現場で活躍してほしいと願いをこめています。

矢部

利用者目線で開発されているのは素晴らしいです。勉強で知識は必要ですが、その知識を利用者の安心・安全に繋げるために分かり易く学べるJCCD教材は、他の教材とは違いますね。

❷ 外国人の指導
介護施設の外国人の指導・学習に関してよく聞く悩みは何ですか?

大きく分けると3つあります。 1つ目は言葉の問題で、2つ目は生活習慣の違いです。 言葉のニュアンスは、お互いの習慣が違うので伝わらなくて、一つの事を説明するのに時間が掛かっているという現実があります。 ですから、育成段階で用語をしっかりと学んでから来てもらえたら、かなり解消されるのではないでしょうか。 3つ目として、教育する時間がないと聞いたりします。

本宮

矢部

私も初めて外国人を受入れる施設さんから、何から教えて良いのかが分からないというのはよく聞く話です。

外国に行かれたことのない受入施設スタッフの方も少くないですよね。以前アンケートを取ってみたところ 2-3割の方しか海外旅行経験者がいなくて、まだ外国人と接する機会が少ないんだなと実感した覚えがあります。

本宮

時間のない中で、教育は継続していくことが本当に大事になってきますね。 その為にも我々は、全力で企業様をサポートをしていきたいと思っています。

矢部

❸日本語育成機関 x JCCD教材
弊社では、インドネシアの育成機関と提携をして介護人材の育成に取組んでいます。 この育成プログラムでは、日本語を半年間かけて学んだ後に、JCCD教材を使い介護教育を実施しています。初めて介護を学ぶ外国人材がJCCD教材を使って学習する時に、一番大切なことは何だとお考えですか?

本宮

JCCD教材は、レベルに合わせて学習できるドリルがあります。言葉を単に覚えるのではなく、意味調べをしていくことで言葉本来の意味を理解していくことができるのでレベルに合わせて学習して欲しいです。 それから、講師には単に言葉を教えるのではなく、利用者さんに対して優しい日本語が使える様に指導してもらうことが大事 になります。 日本では、介護の仕事は尊い仕事ですので、利用者さんとの会話がイメージできるよう心がけてほしいです。

矢部

尊い仕事がゆえの介護の仕事なので、言葉はとても大事ですね。

❹日本人にはない魅力
介護施設が外国人材を、雇用してよかったことは何ですか?

本宮

外国の方を採用されて良かったとう声が殆どです。 真面目で一生懸命、そしてとても明るく 元気に接してくれる外国人材のおかげで、施設全体がとても活気づくようになったと聞きます。例えば、リハビリを頑張ったり、外国人材に会うのが楽しみになったり、身だしなみが綺麗になったり。利用者さんは外国人材からの何気ないお褒めの言葉で元気になるので、結果利用者さん・外国人材・日本人スタッフ相乗効果で成長している とお聞きします。

矢部

良い循環になっていて、外国人がいるメリットは大きいのですね。 インドネシア人の印象はありますか?

本宮

インドネシア人は朗らかで すごくいいですよね インドネシアの方は、笑顔が多くて明るい。明るく元気に接してくれると利用者さんも楽しくなるし頑張ろうとして元気になります。

矢部

Googleで世界一怒らない国と検索すると、インドネシア人が出てきますからね。

世界4位の人口数
インドネシアは、世界の人口第4位を誇る大国ですが、日本における国別外国人労働者割合でインドネシアは、わずか3%です。インドネシア人労働者数は、今後一気に増えると言われていますが、インドネシア側でJCCD教材が広く使われていくことをどのようにお考えですか?

日本は介護人材が不足しているのは皆さんご存じのこと。日本の人口は限りがありますね。 このままだと今後介護サービスが受けられなくなる方が増える一方なので、 多くの海外の若者に介護を目指して、日本に来て欲しいのがホンネです。 インドネシアは人口が世界第4位と多いので、当然大学も多いです。看護知識が豊富な人も多いはずで、まだまだ優秀な人材が眠っているので、大いに期待 をしています。

本宮

5年後には40,50万人の介護人材が不足すると言われていますね。老々介護が起こっているのは受け止めがたい現実です。 AIを使い一部は解決できていますが、介護は人でしかできない領域もまだ多いのは事実。 最後は外国人に頼っていくしかソリューションはないかと思っています。その為、 介護を目指してくれているインドネシア人を大切にしていきたいと常に思っています。

矢部

宗教を持つことのポイント
介護施設の方の中には宗教の違いから外国人材の受入れに戸惑われる方もいらっしゃいますが、 本宮理事長から見て宗教を持つことのプラスポイントは何だと思いますか?

本宮

日本人で宗教を重んじられている方は多くないですよね。 インドネシアの方はお祈りが必要なので、牽制されるかもしれませんが、 信じる者があるというのはプラスだと思っています。

介護はメンタルが傷つくことが多い仕事です。例えば利用者さんが弱くなったり、亡くなられたりすると メンタルが持ち堪えられなくて退職する方も多いんです。 でも信じる者があり、気持ちをリセットできることは心強いこと かもしれませんね。

矢部

心の軸があると、メンタルがぐらっとなった時に、元に戻ってこられるので、宗教を持つことは私も良いことだと思っています。

受入れ企業のリアルな声
JCCD教材で学習した外国人材を受け入れた施設側の反応は如何でしょうか?

本宮

何から教えて行けば良いか分からない施設さんにとっては、JCCD教材を順番に使っていけば進められるので好評を頂いています。 他の教材を使っている人材と比較して、JCCD教材を使う人材は理解度が高いとの声も頂いています。

そこでは、さくらシステムを使っているんですね。

矢部

ある施設さんでは、3期生迄が実践されており、これからまた4期生が来日されます。  

本宮

座学で学びそれが実践されている施設さんで実証されているんですね。素晴らしいですね。  

矢部

Sakura KAORUシステム の提供
弊社では、介護人材の育成は日本入国後も継続的に行うのが良いと考えております。JCCDでは、外国人材が実際の介護現場で始業した後も継続的に学習を進めていける仕組み  Sakura KAORU システム があると伺いましたが、詳しく聞かせてください。

入国前8カ月~入国後の12カ月のトータルサポートがあります。 教材で学んだことと実際の現場では違うこともあるので、現場での指導方法もお伝えしています。 現場で利用者さんと接して行きながら、人材の介護に対する本当の理解を深めていく ものです。

本宮

座学だけでは足りないので、座学と現場を繋ぐ為にsakurakaoru システムがあるんですね。 これは、12カ月が必要なのでしょうか?

矢部

来日して慣れるまでは半年位かかりますよね。また、日本は四季があるので生活をしてみて気づき分かることもあります。教育も深さを変えながら初めは浅く、後半は深く行っていくことが大事 だと思っています。

本宮

これは介護職に限った話ではなく、教育する上でとても大切な事だと共感します。

矢部

❾応援メッセージ   
これから外国人を採用検討される企業へ一言お願いします。 

本宮

外国人に心配はいりません。
不安をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、 人材不足だから採用するのではなく、日本人の成長を促すためにも外国人は必要 です。 日本人スタッフの視野も広くなるし、一番は利用者さんが本当に元気になります。 不安は、3カ月で消えると思います。そして半年経ったら後悔はなくてまた次の人材を採用したくなりますよ。

本宮理事長の言葉は説得力があります。不安を抱いている施設さんもいるかともいますが、 日本人従業員の成長と利用者さんが元気になる2つの大きなメリット があるんですね。

矢部

(余談)

看護大学の子はとにかく優秀ですよ。日本人の介護未経験者と比べても違いは明らかです。まず、看護を学んでいるので利用者さんをみる観察力が全然違います。日本語能力の問題は確かにありますが、歳月を重ねるごとに言葉は上達するので、彼らの活躍は間違いないです。3~6カ月でその違いに気づきます ね。

本宮

JCCD教材使用者の声
元EPA介護士であり、弊社提携送り出し機関の介護教師アヤット先生にJCCD教材について評価をいただきました。

ゼロから介護士になりたい外国人にはピッタリの教材だと思います。分かりやすく、ルビもふってありますので専門用語の漢字勉強にも使えます。文字もちょうど良い大きさで読みやすいです。 介護入門テキストを勉強した後に復習をして、介護基本テキストを勉強する流れが間違いなくベストな方法です。 日本で介護士を目指すなら、JCCDの教科書を使って勉強することをお勧めします。

本宮 薫 (ほんぐう かおる)
(一社)日本介護職業能力育成機構  理事長             

株式会社CPI 代表取締役  
(一社)日本産業カウンセラー協会・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント。人材育成・職業訓練、就職支援に10年以上携わり、のべ1000名以上の福祉・介護現場等を目指す人々のキャリア支援・就職を支援。
介護人材育成コンサルタント 
全国商工会議所女性連合会 女性起業家大賞 奨励賞受賞

矢部 将勝 (やべ まさのり)
 セティア マネジメント 株式会社  代表取締役   

早稲田大学 政治経済学部卒業、Kenichi Ohmae Graduate School of Business修了。経営管理修士(MBA)。大学卒業後の2002年、大手海運会社に入社。在職時にシンガポール及びタイに駐在。アジア統括本部にて主として日系及び外資自動車メーカーのセールスマネージャー職に従事。

タイ・インドネシア・シンガポール等のアジア域内物流改善プロジェクトに参画。独立後、ムスリム向けの旅行及び食のバリアフリー化を実現する株式会社MDJ(Muslim Deam Japan Co.,Ltd)を設立、2019年1月にSETIA株式会社の人材部門と自社を統合する形で、新たにセティア マネジメント株式会社(https://setia-mgmt.co.jp/)を設立。